玄関の履物
玄関の履物を「出船」の形にする理由。
禅寺の上がり口などに、「脚下照顧」という書き付けがしてあることがあります。
直接的には「足元に気をつけよ」という意味だが、「履物のあつかいが人柄を決める」と教える意味もあります。
上がり口で履物をぬぐ日本では、昔から履物のあつかいに気をつかった。
ぬいだ履物を反対向き、出船の形に直すのは、室町時代以降、茶道の礼法として広まったものです。
もっとも、平安時代の肖像画などをみても、天皇や名僧の履物をきちんとそろえてあります。
そのころから、脱いだ履物は履きやすいように、出船の形にそろえておく習慣があっ光ようだ。
また、武家社会でも、履物は出船の形にそろえるのが作法になりました。
いざというとき、すぐに履けるという配慮からです。
これらの作法が、室町時代、茶道にも取り入れられ、礼法として定められました。
茶道では、にじり口から茶室へ入るとき、いったん履物を脱いで、そのまま茶室に入る。
相手におしりを向けないように、ややななめの姿勢でしゃがみ、あらためて履物を出船の形にそろえるというものです。
江戸時代には、料理屋の玄関やお屋敷に、この礼法が広まり、やがて一般家庭にも広まっていったのです。