推薦図書2
さて表紙をめくってニページ見開きの扉を見ると、チビウサギを背中に乗せたデカウサギが跳びはねている姿が、勢いよく三態に描かれていて、それを眼で追うと、一、二の三でつぎのページをめくる動きになります。
同一人物を別々の姿かたちで、一つの画面に配置して描くことを異時同図法といって、十二世紀にはじまる絵巻などにはよく使われる手法で、絵で物語を語る抜群の効果があります。
物語はチビウサギとデカウサギが、おたがいに相手をどんなに好きかを言い競う、たわいもない筋なのですが、この「好きくらべ」のようなごっこ遊びに付き合っていると、いつか読み手も聴き手も、このウサギたちの無邪気な遊びにさそいこまれて、読み手はデカウサギに、聴き手はチビウサギに感情移入し、二人の間にも無邪気な物語空間ができます。
そうした物語体験の共有は、とりわけ親子の間では楽しい貴重な体験となります。